ジュエリー制作の匠工房=ジュエリー制作に関する質問と回答(Q&A) |
ジュエリー |
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今までに有った質問と回答を掲載しています。(レイアウト乱れは追って修整する予定です) |
ジュエリーとアクセサリーは違うのでしょうか?簡単な区別の仕方が有れば教えてください。
「アクセサリ」「アクセサリー」は「カーアクセサリー」や「アクセサリソフト」などの言葉が使われていることからも、広く「付属品」を表す言葉だと思われます。日本に限定して言うならば「主体となるものに付属して、その価値を高めるもの」と理解して良いのではないでしょうか。一般的には単に「アクセサリー」と言った場合は、服や身体に着ける装飾品の意味として使われる場合が多いでしょう。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)その意味では「ジュエリー」もまた「アクセサリー」であると言えます。これもまた日本に限定しての解釈になりますが、装身具の意味での「アクセサリー」の一分野として「貴金属」と「貴石」を使って作られたもの(宝飾品)をジュエリーと呼ぶようになったと思います。というのも、実際のところ十数年前に匠工房のホームページを作ったとき「ジュエリーという言い方は一般的ではないのではないか」と業界の方から言われたことが有ったほど、「ジュエリー」という呼び方が普通に使われるようになったのは最近のことだからです。 本来「アクセサリー」の一分野であるはずの「ジュエリー」が独り歩きして「ジュエリーとアクセサリーは違う」という感覚が出てきた裏には、「宝飾品と銀細工は違う」という古風な職人的感覚が影響しているようにも思えます。 最近ではジュエリーといっても必ずしも貴金属(金・プラチナ)と貴石(ダイアモンド・ルビー・サファイア・エメラルド・アクアマリン・アレキサンドライト・例外的にオパール・・・etc)を使ったものと限定されず、自由に幅広い素材が使われるようになっていますし、シルバー製品でも「ジュエリー」と呼ぶ方がふさわしい商品などを目にすることも多くなりました。「ジュエリー」がすでに「貴金属と貴石を使った装身具」という枠から足を踏み出している以上、装身具全般を「ジュエリー」と呼んでも差し支えないのではないかと、個人的には思っています。 分かりにくかったら、もう一度ご質問ください。 石の種類によって、メッキ前に石留めできる物と、メッキ後石留めする物が有りますが、どのような違いがあるのでしょうか。
メッキに入れることが出来ない石はどのような種類の石ですか。 メッキ・・通常のジュエリー制作で使われるロジウムメッキに限定して答えます。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)まずメッキの工程を復習ってみると「脱脂・・主成分苛性ソーダの60℃の液中で1分間通電」「水洗い」「メッキ・・主成分硫酸の40℃の液中で30秒ほど通電」「水洗い」となります。 苛性ソーダは強アルカリ、硫酸はもちろん強酸なので、これらに弱い宝石はメッキ出来ません。代表的なところでは真珠・サンゴ・シェル全般・ラピスラズリ・マラカイトなどです。また最近経験したこととしては、ラーヴァ(ラヴァー)カメオもメッキ液の強酸で色と照りが損なわれました。他には脱脂の際にオイル含浸されたエメラルドはオイルが抜けてしまうことがありますし、ボルダーオパールは母岩部分の一部が剥落することがあります。一般的にはヒスイ・琥珀・オパール・トルコ石などもメッキ出来ないと言われていますが、今のところこれらの宝石がメッキによって変色・変質・劣化したことは有りません(あくまで私個人の経験ですので、試される方はご自身の責任でお願いします)。 ヘマタイトなどの金属質鉱物は、この鉱物自体にメッキが掛かってしまうので、これもメッキ出来ないことになります。メッキ時に見掛ける事故としては、メッキそれ自体よりも脱脂終了後の水洗いで急冷するために生じる亀裂などが多いように思います。大振りの宝石が使用されたジュエリーをメッキする際には、あらかじめ脱脂液と同程度の温度の湯を、水洗い用に用意しておくと安全です。 ワックスと地金の使い分けがよくわかりません。ワックスでしか出来ないもの、また、地金でしか出来ないものがあるのですか?
また、制作ではありませんが、外国の金貨などを加工したい場合、直接金貨に穴を開けるなどの細工をしても大丈夫なのでしょうか? ワックスでしかできないもの、地金でしかできないものというのは、簡単に答えるならば「有りません」。どのような形状のものであっても、ワックスでも地金でも制作は可能です。ある形を作ろうとするとき、それをどういう方法で作るかというのは実際に作る人の判断で決められるわけですが、それも個人差があるので一概に決められることではないでしょう。職人の中には地金からしか制作しない人、ワックスしかやらない人もいますが、私個人としては制作方法は限定しないで、可能ならばどのような制作方法でも選択出来るようになっておくことがジュエリー制作のプロとして望ましいのではないかと思っています。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)外国の金貨についてですが、日本の現行貨幣を加工することは禁じられていますが、アメリカなどでは特に禁止してはいないようです。それぞれの国によって扱いは異なるでしょうが、結局は国内法ですから、他の国で加工されても罰するということにはならないでしょう(法律の専門家では有りませんが)。ただし、貨幣は加工した瞬間から、貨幣としての価値は失われます。当然のことですが、加工された貨幣を額面の金額で引き取るところは無いでしょう。外国の金貨を加工しても罪にはならないが、その価値が減る可能性が高いと考えて良いと思います。 以前から 思っていたのですが、日本でいう七宝焼きとエナメル加工の違いを教えて頂きたいです。また工程や 耐久性 見た目の美しさなど これ等の加工が出来る 宝石 出来ない宝石 その他物質などはあるのでしょうか?宜しく御願い致します。
エナメルの起源は古く、紀元前にまで遡るようです。現在のような高度な技法の発端が出来たのは、ルネッサンス期だったのではないでしょうか。ガラスに金属粉末を混ぜて発色させ、出来た色ガラスを粉砕してすりつぶし、粉状になったものを使うのはエナメルと七宝の共通点です。エナメルの場合は色ガラス粉末(釉薬)に油脂を混ぜ込み、油彩のように細かい絵柄を描画して金属に焼き付ける技法がありますが、七宝では余り使われません。七宝で細かい絵柄を描く場合には、螺鈿の技術を応用した有線七宝が多く用いられていますが、これこそが七宝の魅力だと言えるかも知れません。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)エナメルと七宝の違いを簡単に理解するためには、七宝が日本で生まれた理由を知るのが近道です。エナメルは前述したようにとても古い時代から使われ工夫されてきたものですが、日本の七宝の起源は、このエナメルそのものに由来します。日本が海外と交易を始めてから、今まで見たこともないような西洋の文化が大量に日本に流れ込んできました。エナメルで作られた工芸品も、その一つだったのです。焼き物と言えば陶器しか知らなかった日本人にとって、透き通るような光沢と鮮やかな色彩のエナメルの工芸品は驚きだったのでしょうね。 どうやって作られているのかを解明するため、このエナメルの工芸品は壊されてしまったそうです。中から金属が出てきたときには、さぞ驚いたことでしょうね。これを発端として、日本で独自にエナメルの研究が始められました。模倣と言ってしまえばそれまでのことですが、誰からも教わることなく技法を研究・工夫していったのだから素晴らしいことだと思います。現在では日本の七宝は海外でSippouと呼ばれ、エナメルとは区別して扱われることが多くなっているということです。 エナメルから生まれた七宝ですから、基本的な技法・工程は同じです。しかしエナメルはゴールドにも使われるのに対して、七宝はほとんどゴールドには使われていません。そのためゴールドに(膨張係数が)合わない釉薬が多く、ゴールド製品に使う場合には注意が必要になります。耐久性はエナメルも七宝も変わりませんが、ゴールドに施された場合は、七宝は不安定で割れやすいと言えるでしょう。 見た目の美しさは人それぞれの感じ方だと思いますが、七宝は色味が濃く、不透明の釉薬が多く開発されているのに対して、エナメルは比較的薄い色合いの透明色が多いように思います。これは七宝が銅という赤身の強い金属に使われることが多いのに対して、エナメルでは銀や金に使われることが多いからでしょう。 通常エナメルや七宝が施される場合は800度前後で加熱しますので、宝石を一緒に用いる場合は、この加熱(焼成)が終わってから石をセッティングすることになります。ですからエナメルや七宝に合う宝石・合わない宝石というのは特にありません。「その他物質」プラチナには現状で七宝もエナメルも「黒」一色のみしか成功していないようです。その他の色は焼成直後に簡単に剥がれてしまいます。 ロウ材によって融点は違いますが、融点が低いから流れやすいとはかぎらないそうです。ロウ材をつくっているメーカーによっても違うと思いますが、流れやすいロウ材、使いやすいものはありますか?
仕事の見地から言えば融点が低いロウは、むしろ流れにくいです。これはロウ付けする母材の金属が充分に加熱される前に、ロウ材が熔けてしまうからです。以前はロウ材の流れを良くするために、ロウ材にカドミウムを添加していましたが、身体に害があることから現在はカドミウムは使われていないものが多いようです。どのメーカーのロー材の場合でも、母材を均一に加熱する工夫と、ロウ付けする部位が綺麗な状態であることが必要になります。あとはロウ材ごとの流れる癖のようなものを、自分の経験で学び取っていくしかないと思います。 (TAKUMI@jewelry-craft.com)安価な金属を高級にみせたり酸化を防止するなどの理由でメッキをしていると思っていました。
K18など高価なものにもメッキをすることを知り不思議に思いました。 メッキをする本来の意味は何なのでしょうか?メッキをすることで金属自体が持つ風合いなど損なわれることはないのでしょうか? 安価な素材を使った装身具の場合は「高級に見せるため」「酸化などの変質を防ぐため」にメッキ(主にクロムやニッケルによるメッキ)が施される場合が多いと思います。貴金属素材を使ったジュエリーにメッキが施される場合、本来の目的は金属表面の保護だと考えて良いと思います。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)私が宝飾業界に入った当時は、主に使われている貴金属素材はK18イエローゴールドとPt900、それにK14ホワイトゴールドでした。当時のK14ホワイトゴールドはニッケルによってゴールドを白色に近い色合いにしたもので、一般にニッケルホワイトと呼ばれていました。完全な白色ではなく、やや黄色みを帯びた上品な色合いのもので、これはメッキをせずにそのまま用いられることの方が多かったように記憶しています。 プラチナにロジウムメッキが施される理由は、プラチナという素材の表面硬度が、他の素材に比べて著しく低いためです。そのままでは細かい傷のために短期間で光沢が失われてしまうため、これを防ぐ目的でプラチナと同じ白金系金属で硬度の高いロジウムが用いられるようになりました。ロジウムはプラチナよりも明るい白色を呈する金属なので、商品の印象を高める、またダイアなどの宝石の輝きを引き立たせる役にも立っていることは事実です。当時・・もう20年も前でしょうか・・からプラチナにロジウムメッキをすることの是非の議論は有りましたが、Pt950やPt960など特別にプラチナという素材自体を強調した商品の場合以外は、ロジウムメッキは通常の処理として行われていました。 ロジウムメッキが現在のホワイトゴールドに使われているような「地金の表面色を変える」目的で使われ出したのは、PL法の施行に伴って、金属アレルギーの原因と思われる従来のニッケルホワイトを使用することが懸念されたことに端を発します。商品ですから安全性を謳いたいのは当然のことで、ニッケルホワイトは見る間に姿を消し、代わってパラジウム割りのK18ホワイトゴールド(パラ割WG)が使われるようになりました。今でこそパラ割WGは実用に耐え得る素材になっていますが、使われはじめた当初は酷いもので「まともに鋳造出来ない」「爪留めが出来ない」しかも「白くない」のですから困ったものです。正直なところ私個人の感覚では、貴金属というよりはコンクリートに近いような印象のものでした。しかし何とか仕上げてロジウムメッキをすると、それなりには美しく見えるので、メッキに頼った仕上げが主流になってしまったわけです。 メッキで色を変えるなら、何もホワイトでなくイエローゴールドを使っても良いんじゃないかという意見もありますし、最近ではメッキをしなくてもきれいな白色になるホワイトも売られています。試行錯誤が繰り返された結果、とても多くの種類のパラ割WG地金が誕生してしまったわけですが、まだ当分は統一されることは無いでしょう。 話が横道にそれてしまいましたが、パラ割WGの登場でロジウムメッキの本来の目的が変わってしまったのだと考えてください。金属自体の風合いが損なわれるのではないかという議論は以前からされているけれども、商品として考えた場合、現状ではロジウムメッキをしたものの方が好まれていると理解すれば良いと思います。 鋳造をおこなうとき、脱ロウ・焼成という行程が有りますが、この段階でロウ型を焼失させると思っていました。レースや糸にワックスをコーティングした物も鋳造できますが、レースや糸は焼失するこはないのでどうして鋳造出来るのだろうと思っていました。ロウ型を焼失させるという考え方が間違っているのでしょうか?
考え方は間違っていません。ワックス(ロウ型)を使った鋳造のことをロストワックスと言いますが、このロストは消失(焼失)するという意味です。つまりワックス型が焼失することによって出来た空洞に、地金を流し込んで鋳型を作るということです。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)ワックスは比較的低温で溶けるので、脱ロウ(石膏からワックスを融かし出す)も低温で行われますが、石膏の焼成には800度前後の温度が必要です。800度という温度がどれくらいのものかと言うと、七宝を焼成する温度と同じくらいだと考えれば分かりやすいでしょう。七宝を焼成する電気炉の内部温度です。普通の繊維などは簡単に焼けて無くなってしまいます。 仮に焼け残っていたとしても、そこに金ならば1000度の熔けた金属が流れ込んでくるわけですから、レースや糸が残ることはありません。しかし、そのようにワックスに含まれる何らかの成分が焼け残った場合、それが地金の流入などで焼失する際に発生するガスが鋳造に良くない結果をもたらす場合も多いようです。 K18WGの透かしのあるものの仕上げの際、フェルトをかけたら抜きと抜きの間に筋が入ってしまいました。
‘す‘がある様子もなくゴムをかけなおしてフェルトをかけてもまた筋が入ってしまいました。 どういう原因が考えられるのでしょうか? またどう対処したら良いのでしょうか? 文章だけで説明するのは難しいのですが、言葉で言えば「透かしの角を引っ張った」ということになります。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)簡単に説明するなら、例えば平面に三角形の抜き(透かし)が有ったとします。これにフェルトやバフなどの柔らかい素材による研磨を掛ける際、角の部分から平面に向けて研磨すると、角を引っ張った形で角から平面に向けて溝が出来てしまいます。 なので対処法としては、角から平面へ向けて研磨しない=平面から角へ向けて研磨する、あるいは角を引っかけない(引っ張らない)方向・・角に対して直角方向などに研磨することが考えられます。 ちなみにこれはK18WGだけでなく、全ての金属で共通です。 面のあまり整っていない部分を磨く時に厚みが薄くなってしまうなど、他の面とのバランスが崩れてしまう恐れがあるものがうまく磨けません。
影響をなるべくおさえてきれいに磨くための注意点を教えてください。 最近ではリューターやハンドモーター(ハンドグラインダー)などの回転工具の先端に装着して使うゴム砥石やセラミックポイントなどの開発が進み、研磨作業がとても楽に行えるようになりました。しかしその反面、回転工具に頼った磨きによる面ダレ・変形なども多く見られるようになっています。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)面ダレ・変形が起こるのは、回転工具による地金表面の削り過ぎによるものです。説明が難しくなりますが「磨く=削る」だとしたら、変形させずに削ろうと(磨こうと)思ったら、どこか一ヶ所を削ったら、他の全ての部分も同じだけ削らなければならないでしょう。 「磨く=削る」ではありません。形を整えたり、面を整えるのが「削る」作業で、その整えた面の微細な凹凸を無くして鏡面に近づける作業が「磨く」です。 特にゴム砥石などの「削る」道具を使う場合は、磨いているのではなく削っているのだという意識を持つ必要が有ります。もしゴム砥石で削り過ぎて変形させてしまうなら、ゴム砥石の代わりに目の細かいヤスリやサンドペーパーを使うべきです。また、削る必要がない状態の面は、ゴム砥石を使わずにそのままフェルトに研磨材を付けて磨いてしまっても構わないのです。 練習としては、一度、ゴム砥石やフェルトを使わずに、ヤスリ・ペーパー・ヘラなどの手作業だけで鏡面に近づける作業をしてみると良いでしょう。削るとはどういうことで、磨くとはどういうことかが理解できると思います。 「ゴム(砥石)はヤスリと同じ感覚で使え」とは、私が修業中に先輩に言われた言葉です。便利な道具が有るからこそ、その道具の使いこなしが大切になるということです。 10Kのリングのバフで磨けない隙間をスーパーVなどの研磨剤をブラシにつけて鋳造の肌をとる際ですが、まだ道具の扱いが要領を得てなくて1本磨ききるころにはブラシが消耗しきってしまいます。
リングの方も毛は届いているはずなのに磨ききれてないということになってしまって非常に効率の悪いんですがブラシを使うときの正しい使い方があれば教えてください。 リングの形状などが分かりませんので、漠然とした回答になるかも知れません。バフで磨けない隙間ということですから、細かい(あるいは細い)透かしか、溝のような部分ということだと思います。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)ある程度の面積がある部分、または全体的に凹凸のあるところをざっと光らせるには、ブラシは有効な道具です。しかし鋳肌(キャスト地)をとるということになると、やや非力な道具だと言えます。強く当てると毛がバラけて、すぐに駄目になってしまいますし、そっと当てても研磨効果は薄いです。ブラシで面をならすときには、研磨効果の高い研磨材を使う必要が有ります。 しかし質問のような細かい部分の研磨では、ブラシに良く切れる研磨材を付けた研磨では、周囲の高い(出っ張った)部分が先に削られて、形が崩れてしまう恐れが有ります。 透かしのような部分なら、ピンと張った糸に研磨材を付けたものを通して磨いたり、鋭角の溝のような部分なら歯科技工用のシリコンポイントの薄いものを使って磨くなど、工夫が必要になると思います。 単にブラシの使い方としては・・人それぞれなので正しいということでは無く、私がやっている方法ですが・・広い部分を研磨する場合は、良く切れる研磨材を多めに使い、雰囲気としては熱で溶けた研磨材をかき回すような感じで研磨すると良いと思います。 狭い溝のような部分の場合は、段差や凹凸などが有ればあらかじめヤスリなどでならしておいてから、奥の方から手前に向けて掃き出すような感じで磨きます。奥に押し込むような動きで研磨すると、形を壊してしまうことが有ります。 また、ブラシにも色々な毛の種類が有りますが、私は豚毛を好んで使います。馬毛は硬過ぎるように感じますし、ナイロンは熱に弱いので、豚毛が一番使い勝手が良いです。 初歩的な質問で申し訳ありません。オクタゴンカットをされた 石を初めて見ました。大変綺麗な光を放つカッとにおもえました。私は アンティークの様な感じのジュエリーが好きなのですが、オクタゴンカットは とても近代的(表現が適切では 無いかもしれませんが)なカッとに感じられたのですが、例えば、ペンダントトップなどに 利用した場合 私の好みに近い感じのジュエリーに仕上がるのでしょうか?アドバイス頂ければ 嬉しいです。
アンティークと言ってもデザインは様々ですから、ご質問の解答になるかどうか判りませんが・・。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)最近の傾向として目新しい言葉で尚且つ独特の雰囲気を感じられる言葉は、安易に多用されるように思います。オクタゴンとは単に八角形のことですから、通常は見た目に八角形にカットされた石であれば全て該当することになります。しかし実際にオクタゴンカットと称して販売されている宝石の中には、昔で言うエメラルドカットや変形オーバルのチェッカーカット、海外サイトなどではほとんど不定形のカット石なども多く見られます。 ご質問が正八角形のカット石のことであれば、確かに近代的なイメージが強く見えると思います。しかしジュエリーの雰囲気というのは、石とデザインの調和で決まりますから、近代的な雰囲気のカット石をアンティーク風に仕立て上げるというのも、それはそれで面白いのではないでしょうか。 エメラルドカットや他の変形カットの場合は、実際にアンティークジュエリーなどでも多く使用されていますので、心配いらないと思います。 ただ個人的には、アンティーク風のジュエリーを作ろうとしたら、まず「アンティークとは?」から入ると思います。アンティークの定義が単純に「古い」ことであったら、それを作ることは不可能です。古いということ以外の特徴・・どこを魅力に感じているのかを自分なりに考えてみると、実際の制作に役立つと思います。 シルバーなどに火をかけた後、硫酸につけて酸化膜を落とす時に、硫酸を入れて火にかける容器は何を使えばいいですか?
100円ショップの蓋付きの鍋を使っていたのですが、穴が開いてしましました。 ステンレスのものなら、近くのショッピングセンターにもあったのですが、先生が使っていたようなグラタン皿のようなものはありませんでした。 ステンレスではやはり溶けてしまいますよね? 「グラタン皿のようなもの」というのは大正解です。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)匠工房で使っている希硫酸での煮沸容器は、直火でもオーブンでも使用可能な調理用の耐熱容器です。昔は「パイロセラム」という商品名で販売されていましたが、食器の専門店などで「パイルセラミックス」という耐熱容器と言えば、大抵は判るはずです。取り寄せになると思いますが、耐久性抜群なので買って損はありません。 ちなみに私が教わった会社では、実験用の蒸発皿を使っていました。これも急冷しない限りは割れることも無く、長期間の使用に耐えたと記憶しています。 匠さんお久しぶりです。最近銀パラの鋳造を始めようと思い地金メーカーの資料を集めました、1社のPd27%Ag73%で融点950〜1020℃と言うのが目にとまり、詳細の連絡を待っているところです。もうひとつがピーキャストUと思案中です。何か情報が有りましたら宜しくお願いします。
ご無沙汰しております。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)鋳造に関しては菅原さんがプロですから、お役に立てることが有るかどうか判りませんが、何か見付けましたらご連絡差し上げます。 ブログサイトを立ち上げたんですね。楽しみに拝見しています。 ロウ付けの時にロウがうまくすき間に流れ込まないで違うところに流れてしまいます。火の当て方や強さを替えてみても同じです。なにかやり方が違うんでしょうか?
地金・ロウ材・バーナーなどの種類によって違うので一概には答えられませんが、ロウ付け全般に共通していえることは次のようなことだと思います。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)まず、ロウが流れるのは地金の温度が高い部分だと言うことが出来ます。ですから二つの地金パーツをロウ付けする場合、どちらかのパーツの温度の方が他よりも高ければ、ロウは温度が高い方のパーツだけに流れてしまいます。同じように火を当てているつもりでも、パーツの大きさによって温度の上昇の早さは違います。大きいパーツと小さいパーツをロウ付けする時には、大きいパーツにより多く火を当てること、または小さいパーツにピンセットなどを接触させて熱を奪うことで、二つの地金の温度の上昇を均一にすることが出来ます。 また、ロウは地金の綺麗な面に流れやすいという性質が有ります。ペーパーの粉が付着していたり研磨材が残っていると、ロウは綺麗に流れません。ロウ付けの前には地金を綺麗に洗浄する必要が有ります。ロウ付けが上手く行かずに何度も火を当て直したりしていても、ロウ付け部分に酸化膜やフラックスのカスなどが付着します。何度か試しても上手くロウが流れない時には、いったん希硫酸で煮沸した後に洗浄すると上手く流れることが多いようです。 火の大きさ(可燃ガスの量)については、私は個人的に「加熱しようとする地金の体積と炎の体積を比例させる」というような感覚で捉えています。小さいものの場合はガスも少なく、大きいものを加熱する場合はガスも多く出します。炎の強さは可燃ガスと酸素あるいはエアーの量の比によって決まりますから、炎が大きくても小さくても変わりません。 ゴム型による複製時の縮みに着いての質問です。
これまで一点ものしか作ったことがないので、ワックス原型〜ゴム型までの縮み率がよくわかりません。 数個のペアシェイプの石をフクリンで留めたいので、なるべくなら複製品をジャストで仕上げたいとおもってます。 ある人は3〜4%縮むからその分大きく作れば? またある人は、一回り大きくしとけば? など、どれもザックリとした感じでいまいちわかりません。 お忙しいと思われますが、よろしかったらご教授願います。 原型からゴム型を経てワックス・キャストと進める作業の場合、確かに原型とキャストアップ品の間の縮み率が問題になってきますね。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)人によって回答が違うのは、それぞれが自分の経験からの目安を答えているからだと思います。はっきり何%だよとは答えられない問題だと思ってください。 私の工房でもやはり、以前勤務していた職人などは「5%くらい」という数値を目安にしていました。なぜ数値が目安に過ぎないかといえば、ゴム型やキャスト時の縮みは「長さ」ではなくて「体積」だからです。全体の体積として何%くらい縮むというのは(地金の種類やゴムの種類、キャストの方法などによって異なりますが)ある一定した条件であれば数値は出ると思います。 しかし例えば体積(目方と地金の比重から体積は割り出せます)が5%減ったとした場合、5mmの石枠が何mmになるかというのは、数学的にも非常に難しい計算になります。 そのために熟練した職人は自分の経験から「大体これくらい」という目安を持ちながら、さらに誤差が出た場合のことも考えて原形を作ることになります。曖昧な回答で申し訳有りませんが「前にこれくらいで作ったら、こうだった」という経験を数多く持っているから「これくらいで作れば大丈夫だろう」が解るというものなのだと考えてください。 原型からゴム型を作って鋳造で複製する時に縮むと聞きました。どうして縮むのか解りません。縮む理由を教えてください。
原型からゴム型を作ると、ゴムが加硫されて固まる際に膨張します。膨張したゴムは原型に押し付けられることで細部まで型が取れるのですが、ゴムの中から原型を取り出すと、押し付けていた力が解放されてゴムはやや原型を取り出した空間側に広がります。つまり空間が少し狭くなります。
また、このゴム型の空間に溶けた状態のワックスを流し込むと、ワックスは固まる際に少し収縮します。 このワックスを石膏に埋没して焼成後、石膏の空間に熔解した地金を流し込むと、この地金も冷えて固まる際に収縮します。 それぞれの工程による収縮はわずかですが、いくつかの工程による連続した収縮の相乗作用で、原型と鋳造品の間には目で見て分かる程度の収縮が認められることになります。 先の回答でゴムが膨張することで原型の入っている空間が狭くなると書きました。ゴムは加硫によって膨張しますが、その後冷えるとともに収縮します。このときのゴムの収縮によって原型の入っていた空間も収縮すると考えた方が妥当だと思いますので、訂正させていただきます。 (TAKUMI@jewelry-craft.com)アイスクリスタル原石にヒートン金具をつけたいのですが、穴はあけることができますか?
水晶程度の硬度ならば穴を空けることは可能ですが、もし「自分で」ということならば非常に困難だということになります。石の破損や切削工具の摩耗など、かなりの経験がないとスムーズに安全な穴開けは出来ないと思います。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)安全に空けたいならば「宝石研磨」などで検索して、専門の業者さんに頼むのが良いでしょう。業者さんによりますが、穴開け加工ぐらいでしたら工賃も大して高くは請求されないと思います。 スターリングシルバーを電気ファーネスを使用してキャストする時の融点の温度とその後どの位のタイミングでフラスクに流せば良いものでしょうか?形状の極端なデザインの物の鋳造をしていますが、何度試しても仕上がりに巣が出来てまうのでそれが原因の一つかなと思っています。スプルーの位置や大きさ、電気炉の温度等原因となるような点のアドバイスを是非聞かせて下さい。
シルバー・鋳造ともに専門では有りませんので一般論の回答になりますが、溶湯の温度は実際に溶けた時の温度を測温して、それより50度から100度高い温度で鋳造するのが普通だということになっています。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)細かい部分や薄い部分が多い型のときは、溶湯・鋳型の温度も普通より高めにすると結果も良いようですが、溶湯の温度を上げ過ぎるとガスの吸収量も増えて鋳造不良の原因になります。 湯道の付け方は大きさ・デザインによりますが、手元の資料によると基本的な事項として「溶湯が鋳型の空洞を完全に満たすこと」「溶湯は静かに早く流入させ、乱流を起こさない形状であること」「溶湯の鋳込みが完了し凝固が完了するまで溶湯の供給が出来ること」の3点が上げられています。 初めまして、どうしたらいいのか分からないので質問させて頂きます。
ペアシェイプのダブルカボションの石を覆輪止めで止めようかなと思っているのですが、縁取った板状の地金を倒して止める時、尖った方がシワとかにならないか不安です・・・。何かコツの様なものがあったら教えて頂きたいのですが・・・。爪止め等にするしか無いのでしょうか? ペアシェイプやマーキス形の石を覆輪で留める場合、とがった先端部を残して他の部分を絞ってしまうと、残った先端部がはみ出したようになってきれいに押さえることができません。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)コツとしては先端部を先に押さえてやるとよいのですが、石の最も欠けやすい部分なので注意が必要です。覆輪の地金厚次第ですが、とがった先端が当たる部分の地金(覆輪の壁の内側)を小さなラウンドカッターかドリルなどで地金厚の半分程度まで丸く削り取ってへこませておくと、石の先端にかかる負担が減って覆輪も倒れやすくなるので便利です。 先端を寄せた後で、石の動きを見ながら周囲の地金を寄せていきます。地金が石にぴったりと密着しなくとも、石に動きがなく緩まなければ良いのです。あとは経験によって少しづつ自分なりの方法を見つけていくということになると思います。 彫金とは無縁の者ですが、金属についての質問です。
真鍮素材をメッキではない方法で古びた感じにする方法はあるのでしょうか? シルバーアクセサリーで燻しという技法があるように、液体(薬品)などを塗布して化学反応のようなことで短時間に真鍮を変色させる事は可能でしょうか? ムトーハップやら銀用の古美仕上げ液を試したのですが、思っている感じになりません。 http://fishingcat.shop-pro.jp/?pid=5122042 ↑メッキ加工をしてあるものですが、これぐらいにしたいです。 真鍮は銅と亜鉛の合金ですから、銅と同じように化学反応で変色させることは可能です。ただし工芸の技法に絶対はありませんので、実際に工夫しながら結果を見ながらより良い方法を見出して行くことが必要です。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)硫黄などの硫化反応を利用するなら、薬液の温度を上げる、硫化させたいもの自体の温度を上げるなどの方法で反応速度を速めることが出来ます。 単純に黒みが得たいのであれば、サラダオイルを塗ってガス火などで焼く方法も有りますが、サラダオイルが燃えるので大きなものでは非常に危険です。 あと試したことはありませんが、真鍮用の腐蝕液というものも販売されているようです。これは主に銅成分を腐蝕させることで、緑青の色を出すためのものかも知れません。 はじめまして山田と申します。
当方都内で一人でオーダーを受けて制作をしている者です。 クリソベリルキャッツアイなんですが、 ワックスペンで温めることによってダイヤなどのようにワックス(ブルーや紫)に溶かして埋めていくことが出来るのでしょうか? 熱を加えても品質の劣化などは起きないのでしょうか? ご質問だけになってしまいましたが、よろしくお願いいたします。 ワックスで石を合せる時、ワックスペンなどで石を加熱してワックスを溶かして沈めてゆく方法は、良く使われる方法ですが好ましくない方法だと認識して行われた方が良いと思います。出来れば使わない方が良い方法だということです。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)熱による劣化や変質は、肉眼では観察できないことが多いと思いますが、だからといって全く影響が無いわけではありません。特にワックスペンなどを石の一点に当てて加熱する場合、ワックスペンが当てられている部分の温度は他の部分より高くなります。加熱によって石に悪影響が出る時の多くは、このような石の部分の温度差による歪みが原因です。 危険を承知で自己責任で行うのは自由ですが、高額な石や代えが効かないものの場合は避けた方が良いと思います。 はじめまして!
修理を専門にしている者です。宜しくお願い致します。 K18のリングをサイズ直して、形を整えた後、うっすら亀裂が入るときがあります。切り口も合わせ、形もできるだけ変形しないようにしています。特に幅広で起きます。昔はそういうことが少なかった様な気がしますが、何か、考えられることはありませんか? ロウ材に問題はないでしょうか? ホワイトのリングの場合ですが、足し金の馴染みが悪く、浮き上がったようになってしまいます。18金の足し金で足すと馴染みが良く綺麗に仕上がります。ホワイトのリングと言っても、磨いてしまえばほとんどが金色に近い商品が多いです。全く金色の物もたくさんあります。使い分けたほうがいいと思いますが、他の職人さんはどうされていますか? メッキが剥げて、お客さんから 「どうして金なんだ!」と苦情があったらしく、ホワイトの足し金で足すように言われています。リングの地金自体が金なのにどうしようもないですよね。 上司が「ホワイトにK18の足し金を使うのは怠慢だ」と何処かのメーカーさんに聞いたらしく、説明してもわかろうとせず、修理跡が目立てばお店から苦情が来るし。 上司のことはさておき、修理のことでアドバイスお願い致します。 K18リングのサイズ直しでは余程変形が激しく、サイズ直し後に木槌などで無理に叩いて成形しない限り、亀裂が入ることはありません。ご記載のように注意して作業されているなら、亀裂の原因がロウ材にあるのかも知れません。うちではK18イエローならばデグサのK18L1ローでサイズ直しをしています。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)WGの場合は地金種類が非常に多く、それぞれに性質が異なります(ご存知でしょうが)。地金種類が分かる場合には、同じ地金で共付けを試みます。WGには共付けが容易な種類の地金も多いようです。 共付けが無理そうならばイエローと同じ方法でサイズ直しをしますが、WGの中には(経験的に)融点の低いロウ材とほとんど同質のものが有ります。融点の低いロウ材で全くロウ目が現われなかったということも有りましたが、その地金種類だけの特質だと思います。 基本的にはK18WGのサイズ直しには同種類のWG地金を使います。メッキするにしても色が違う地金は誤解を招く恐れが有りますので、使わない方が無難だと思います。 ワックスについての質問です。
制作工程を載せている他サイト様で見かけたのですが、「ハードワックス(ブルー)にあるものをかけると柔らかくなり、ひねりのデザインが作れる…」 というのを見かけたのですが、そのような薬品のような物があるのでしょうか? ご質問有り難うございます。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)ハードワックスにかける・・塗布すると軟化する薬剤というものは知りません。勉強不足でしたら、お許しください。 理論上はワックスには浸透性が有りませんので、表面に塗布あるいは薬液に浸けただけで、ワックス内部まで柔軟性をもたせるのは難しいように思います。 はじめまして。いつも利用させていただいております。
テンパー3mmのラウンドメレをパイプに覆輪で留めようと思っているのですが、パイプの外径と厚みにはそれぞれ適した厚みがあるのでしょうか? また石の大きさが変わったときには同じ比率で外径・厚みが大きくなっていくのでしょうか? 今考えているのは 石:2.8mm パイプ外径3.3mm 厚み0.8mm 石:3.2mm パイプ外径3.7mm 厚み0.9mm 石:3.6mm パイプ外径4.1mm 厚み1.0mm で考えています。 また3mmの石を外径3.2mm 厚み0.4mmのパイプに留めることは可能だと思うのですが、強度的にはどうでしょうか? それとも深く埋めて壁の高さを生かして押さえ込む地金の量を増やせば問題はないのでしょうか? パイプの「厚み」と言われているのは、石が乗る「座」の部分と石を留める「爪」の部分の合計の厚さということですね。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)例にあげられた 石:2.8mm パイプ外径3.3mm 厚み0.8mm 石:3.2mm パイプ外径3.7mm 厚み0.9mm 石:3.6mm パイプ外径4.1mm 厚み1.0mm は、どれも爪になる板状の地金厚は同じ0.25mmです。ぎりぎりの厚さだと思います。 また3mmの石を外径3.2mm・・は、爪部分の地金厚が0.1mmになります。不可能とまでは言いませんが、石留め後の仕上げで地金が切れる怖れが大きいと思います。石留めの強度は石を押さえる地金量に依存しますが、実際的には石のガードル部分の地金厚が少なすぎると、多くの場合仕上げ作業中に地金が切れてガードルが露出してしまいます。 石の大きさに合わせて爪の厚みを変えるというのが、現実的な考え方だと思います。目安として石の直径の15%くらいを考えておくと良いでしょう。石が直径3.0mmならば爪の板厚0.45mm・・つまりパイプの外径3.9mmですが、もちろん爪の板厚0.3mm、パイプ外径3.6mmでも作れないわけでは有りません。 パイプの件でご質問させていただいたものです。
ご回答ありがとうございます。 パイプの外径と板厚のバランスでは裏から見たときなどに理想的なバランスはあるのでしょうか? 理想的なバランスは主観に依存しますので、決まった数値や比率は無いと考えて良いと思います。それが自分の感性というものになると思うのですが、たとえば外径が3.0mmのパイプの場合・・・
(TAKUMI@jewelry-craft.com)可能な板厚の最大は1.5mmですが、これはもうパイプではなくて地金の塊ですね。つまりこれ以上の厚さは有り得ません。 板厚の最低は爪になる部分の板厚(たとえば0.25mm)と石が乗る部分の板厚(極端に最低を0.1mmとします)の合計値ですから、この例の場合は0.35mmになります。 0.35mmから1.5mmの間であるという範囲が特定できたわけです。これで全く解らなくは無くなりました。そこからが感性というもので、0.35mmを実際に見てみれば「これじゃ薄すぎる」と感じるはずです。感じているのが、その人の感性です。それでは厚みを0.5mmにしてみたら・・「うーん、まだちょっと薄いかな」と。 では今度は厚い方から逆に薄くして行きます。1.5mmは穴なしですから論外として、1.0mmだとどうでしょう。板厚1.0mmで中央の穴の内径が1.0mmです。「穴が小さくて地金が厚く感じるな」と思うでしょうね。そう思っているのが感性です(しつこいですが)。 この時点で既に0.5mmだとちょっと薄いかな、1.0mmだと厚いかなというように範囲がかなり絞られています。誰でもそれが解るように出来ていると言って良いと思います。誰にでも感性が有るからです。 ジュエリー制作は自分の感性を信じて行うものです。そのために自分の感性を信じるに足るものに鍛える必要が有ります。良いものを見た時、どこが良いのかを考える。何となく嫌いだなという造形は、どこがどうだから嫌いと感じるのかを考える。そういう日々の鍛練・・と言うと大げさですが・・習慣で自然と感性は鍛えられるものです。 あとは自分が厚すぎると感じたら薄くすれば良いし、薄いと思ったら厚くすれば良い・・ただ、それだけのことです。 パイプの外径と厚みのバランスくらいなら計算式で出せるでしょうが、リング全体のバランスということになると感性に頼るしか有りません。信じられる感性を身に付けるように頑張ってください(偉そうですみません)。 補足です。 参考までにということでしたら、裏側から見た板厚はパイプの28%くらいと考えてください。あとはご自分の感性で増減・・です。 パイプ裏側から見た場合の板厚と穴の直系の比を「2:3」とした場合の数値です。全てに当てはまるかは確認していません。 すみません。質問させて下さい。
趣味でアクセサリーを作っているのですが、タンザナイトの石は、メッキや超音波での洗浄は大丈夫なのでしょうか? あと取り扱いに注意すること等あれば、教えて頂きたいのですが。 今までの作業経験では、タンザナイトがメッキ(ロジウムメッキ)や超音波洗浄で問題が生じるということは無かったと思います。ただし、どの種類の石であっても内部に亀裂を持つものは、超音波洗浄によって亀裂が広がる危険性が有ります。また石の表面にコーティングを施したような処理石の場合、超音波洗浄によるコーティングの剥離、メッキによるコーティング剤の変質という問題が生じる怖れは有ります。自己責任で注意しながら作業して、経験を一つ一つ深めていくということが必要なのだと思います。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)タンザナイトは剥離しやすい石なので、爪留めの際には無理に押さえ過ぎないように、包み込むような感じで留めてください。 初めまして。
ドット留め・チョコ留めのやり方が知りたいのですが、教えて頂けませんか? また、よく似ている留め方ですが、どう使い分けているのでしょうか? よろしくお願いします。 回答遅くなりました。
(TAKUMI@jewelry-craft.com)ドット留めというのは比較的最近になって言われるようになった呼び名で、実際のところは留め方の方法は一定していないと思います。多くは爪が見えずに、石が地金と面一か、やや下がった高さに嵌め込まれたように留まった状態のものを指してドット留めと呼んでいます。 チョコ留めの定義も最近は曖昧です。もともとの呼称はお酒を飲む猪口(チョコ)の底に沈んだように留めたものをチョコ留めと言いましたが、最近では「ちょこっと爪を起こして留めた」という意味合いにすり替わっているものが多いです。 それらを踏まえて考えたとしても基本定義は一緒でしょうから「ドット留め」は爪も照り返しも見えない留め方で「チョコ留め」は照り返しの中に小さく爪を起こして留めたものと考えて良いでしょうね。 石留めは文章だけで説明するのは困難ですし、職人によって使う道具も方法も違いますから、一概にこうだという説明もできません。それぞれの職人が工夫してやっていることです。 チョコ留めは魚子タガネだけでも出来ないことは有りませんが、ドット留めは石の径を減らさずに(小さく見えないように)留めるのは技術が必要です。周囲の地金を叩いて埋め込むのは難しく有りませんが(叩き過ぎれば石が割れますが)石が小さく埋まり混んだように見えてしまいます。 職人仕事は工夫と練習の繰り返しだと考えてください。 |
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